下見(1)
ぼくたちは、2002年9月にロンドンにやって来て、もう丸7年が経過しようとする2009年の8月にコーンウォールに旅行することにした。なんちゃってアーティストの分際で、人並みに夏の家族旅行に行けるような身分ではないのは重々承知していたけれども、なかなか作品を発表する場にさえ恵まれない状況が続いていただけに、気分転換が必要だろうということもわかっていた。イギリス国内を車で3、4日旅行するくらいならいいだろうと思い、旅行先を探し始めた。最初は、日本だと箱根の彫刻の森美術館のような屋外彫刻公園のあるような地域を考えていて、それならYorkshire Sculpture Parkかな。そうしたら北の方だから、ついでに、当時実践していた石版に文字を彫る技法で必要な石を産出するような地域にも足を伸ばして素材の石を安く調達してこようかなと思っていた。しかし、発表の機会がなかなかないということは、やはり、この技法に固執していると同じことの繰り返しで、そろそろ表現方法を転換した方がいいのかもしれないと思い、それなら、いっそのこと、前年と同様、ぼくも家内も興味がある陶芸工房のあるような地域にしようかと考えを改めた。
陶磁器の産地として有名なのは、何と言ってもウェッジウッド(Wedgwood)の本拠地であるストーク・オン・トレント(Stoke on Trent)だけれども、ここは、前年に訪ねたばかりだったので、陶磁器関係でほかにはどこか面白そうなところはないだろうかとGoogleでいろいろリサーチしたところ、コーンウォールという州の西端に近いところにあるセント・アイブズ(St. Ives)という町に、リーチ工房というのがあり、しばらくの間閉鎖状態だったものが、最近になって再興されたということを知った。
バーナード・リーチという名前は、陶芸を実際にやったことがなくても、柳宗悦の提唱した民芸運動を再検証する立場から書かれた文章を読んだばかりだったので、まあ民芸の精神をイギリスに持ち帰って実践した人なんだろうなという程度の知識は持っていた。家内も研修中に、民芸とリーチについて勉強したことがあるはしたことがあるようだった。さらに興味深かったことは、そこで、若い陶芸家の育生プログラムがあり、数名を募集中ということであった。日本で陶芸の専門教育を受け、イギリスに来て以来、まともに陶芸を実践する機会のあまりなかった家内は、もちろんこれに興味を示し、とにかく行ってみようかということとなった。
コーンウォールのどこか
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